先天性の学習障害について

読み書きや一定の計算がスムーズにできないことを、学習障害と言います。知的障害と同一に捉えられがちですが、他の知的要素に問題があるわけではないので、看護をする場合は注意が必要です。そして、学習障害の子どもと接するときには、先天性の障害であることをきちんと意識して対処をすることが大切です。また、学習障害を抱える児童の多くは、コミュニケーションが円滑に行えないなどの理由で、自信を喪失しているケースも少なくないようです。読み書きが苦手なことを否定するのではなく、相手を受け止めて信頼関係を築くことも忘れてはなりません。

一般的に、学習障害は中枢機能に問題があることにより生じるとも言われます。本人に学習意欲がなかったり、家庭環境に問題があることに起因しているのではありません。文字を書くのが苦手なケースは、脳から文字を伝達する動作が上手く機能していないことが原因になっていると考えられます。そのため、思い通りに字を書けない子どもには、タブレットのような電子機器を用いると、症状がいくらか改善されやすくなるようです。

ただし、学習障害を治す方法は確立されていません。そのため、症状を治すのではなく、理解して寄り添うことが看護師には求められます。部分的に苦手な分野に対しては、そこを克服するための取り組みを一緒に考えていくことが必要ですし、たとえ読み書きが上手に出来なくても、自信を持ってコミュニケーションができるように育むことが大切なのです。